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湘南の大人達の週末の過ごし方を考え、提案する、毎週金曜日16時から19時まで放送中の湘南ビーチFMの番組「T.G.I.F.」のブログです!


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「歌川広重が愛した立石・秋谷」5/23放送「ちょっとリュクスな湘南散歩」

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ラーキーこと、旅行作家の荒木左地男です。

立石海岸は湘南の海岸線の中でも、風光明媚なところとして有名。

高さ12メートルのとがった岩が海中からそそり立ち、小さな浜の先の岩には松の木が一本枝を広げ、その先には江ノ島、さらに富士山を望むという、まるで日本画のような光景が広がります。

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実際にこの風景はアーチストの心も捉え、東海道五十三次などで有名な浮世絵師、歌川広重が、なんとここを訪れ、一枚の絵を残しています。

「武相名所手鑑」という武蔵の国と相模の国の名所を描いた作品集の中に「相州三浦秋屋の里」という一枚の絵があり、秋谷海岸から立石、そしてその向こうの梵天が鼻の岩山に立つ三本の松の木が描かれています。

立石海岸は駐車場を挟んで左右に砂浜が広がり、海水浴シーズンには多くのひとが訪れる場所になっていますが、夕陽の名所でもあり、また近くに湘南海岸らしいおしゃれなレストランも多くあって、デートコースにもなっているところですよね。

立石と松の木、そして富士山の三点セットは、広重の時代も、いまも、これぞ日本の風景!というエッセンスのすべてをそろえた場所ということで、時代を超えて人気があるのでしょう。

いま自分が見ている風景と同じ風景を、あの世界的に有名な浮世絵画家、歌川広重も見ていた。そう思って改めて眺めてみると、感慨もひとしおなのではないでしょうか。


さて、歌川広重というひと、有名なのは「東海道五十三次」ですよね。江戸から京都まで御所に馬を納める行列に同行して旅をし、各地の美しい風景を描いて浮世絵として出版し、大変な話題になりました。当時は一般の人が気軽に旅行できる訳ではなかったので、人々は浮世絵を見て各地に旅した気分に浸ったのです。
その後も「名所江戸百景」「江戸近郊百景」などを次々と出版しました。いわば旅行を疑似体験させる出版をたくさんした、江戸の旅行作家だったと言えます。

広重は秋谷以外にも、五十三次の戸塚宿、藤沢宿、平塚宿のほか、金沢八景や三浦などにも足を運び絵を描いています。

広重以降も、葉山御用邸からの近い秋谷は、英照皇太后(明治天皇の嫡母)が気に入り、ここに茶寮(さりょう・茶室)を作りました。いま立石公園になっているところがそうです。

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いま公園には見晴らしのいい場所に東屋があります。ポットに熱いお茶を入れてここでゆったりティタイムを過ごすと、天皇家の人たちが愉しんだ時間を体験することができるかもしれませんね。

広重の描いた「相州三浦秋屋の里」の絵が、どこから見た絵なのかを探り当て、広重と同じ風景の写真を撮ってみるのもいいですね。
by sbfmtgif | 2014-05-24 10:57 | ちょっとリュクスな湘南散歩