「奥葉山ち●さんぽ」7/19放送「ちょっとリュクスな湘南散歩」
2013年 07月 20日
暑いですねえ。ラーキーこと、旅行作家の荒木左地男です。
こんなときは木陰が恋しい!
というわけで、海の葉山ではなく山の葉山にいそいそと出かけましょう、という提案です。
今回は、あそことあそこを訪ねて・・というようなスポット巡りの旅というよりは、葉山の山並みを眺め、空気の流れを感じ、地元の人々とのふれあいを愉しむ・・・。そんな“ち●さんぽ”みたいな散歩がおすすめでず。
一応今回のコースは、葉山大道と木古庭を結ぶ県道の途中、新善光寺そばの「水源地入口」バス停から下山川の流れに沿って山間の道を海辺の御用邸に向かって歩く、1時間ほどのコース。
少しアップダウンもありますが、川の下流に向かうゆるやかな下り坂なので、自転車でのんびり走るのもOK。
最初の立ち止まりスポットは、「水源地入口」から5分ほどの「水源地」!
ここは、御用邸に良質の水を送るための貯水池があったところ。背後のうっそうと木々が茂る山には1.7キロもの鍾乳洞があり、その先の宝金山あたりの水系から湧く清水が大変おいしかったそうです。
大正のはじめにできて、50,60年は使われていたんじゃないかな、と木陰でひと休みなさっていたおじいさんが話してくださいました。山手に道路ができたり住宅の開発が行われて水質が悪くなり、使われなくなったようです。
水源地には石やコンクリートの大きな建造物がまだ残されており、パイプからは湧き水がいまも結構な水量で流れ出ています。でも立て札には「この水は飲めません」の文字。残念ですね。
川に沿って木立の中を歩いていきましょう。どんどん道は狭くなり、車が交差するのもやとという幅になっていきます。バスも通らず、交通量も少ないのでち●散歩にはぴったりです。
道の脇には所々に庚申塚があって、1680年など江戸中期の創建だと書かれているものもあります。かなり古くから人々の暮らしがあったのですね。
と驚いたら、もっとすごいものがありました。
田圃で農作業をしているご夫妻の薦めで、山道を少し登ったところにあった「観音堂」。ほとんど人も訪ねないようなところに建てられたなかなか立派なお堂ですが、傍らにあったお墓が、平兼盛の墓だと伝えられているだそうです。
百人一首の「しのぶれど色にいでけりわが恋は・・・」のあの作者ですよね。平安中期に生まれた歌人の墓がこんなところにあるとは! 葉山の奥深さを感じますよね。(諸説あって、本当に平兼盛の墓なのかはまだ検証されていないようですが)
川沿いに立派な門構えの家を見つけました。
荏原製作所の創業者、畠山一清さんの別荘だった「茅山荘」で、いまは曹洞宗の僧侶の方の所有で、時々ヨガ教室や座禅の会が開かれているようです。
このあたりがコースの中間どころ。そろそろおなかもすいて休憩したくなりましたか?
道路沿いの「桃花源こちら」の看板に従って、左の坂道を登ってみましょう。やがて谷を見下ろす高台にある別荘風の建物「桃花源」に到着。
第5代ミス日本という女主人の坂本千桃さんが創作家庭料理を作ってくださっています。このあたりは東京の喧噪を離れて静かに週末を過ごしたいと、多くの文化人や政財界の人たちが別荘を持ったようで、この建物もそのひとつ。そんな当時の避暑暮らしを思い浮かべながら、ハイソサエティのおもてなしを体感してみてください。
お昼だけの営業で、事前予約をして行き方を聞いておいた方が安心。
桃花源
葉山町下山口1013
TEL 046-875-9551
さて、終点も近づいてきましたが、川沿いの道でひとつの疑問が湧いてきしました。
水源地の水は、どうやって御用邸まで運ばれたのか?
その解は、下山川をまたぐ何カ所の橋にありました。
橋の脇に太い二本の水道管を見かけました。青く塗られた管とさび付いた茶色の管。青い管をさわってみるとひんやり冷たく、水が通っていることがわかりますが、さびた方は太陽に焼かれて熱くなっています。
青い方は今も使われている送水管。とするとさびた管こそ、水源地から御用邸までおいしい水を運んでいた送水管ではないか?
帰って調べてみたら、正解でした。下山側の終点近く、御用邸の手前には、広くなった川をまたいで、地元のひとが「鉄管橋」と呼ぶ水道管専用の橋がありました。
水源地からはじまり、鉄管をたどって歩いてきた今回のち●さんぽ。この橋が「おつかれさん!」と言ってくれたような気がしました。
あ、ちなみに「ち●さんぽ」は、このコーナーのタイトル「ちょっとリュクスな湘南散歩」」の頭文字をとって「ちょさんぽ」だったという落ち。ちょっとすべってますね。(笑)
来週も金曜日18:35から、湘南ビーチFM「TGIF~ラーキーのちょっとリュクスな湘南散歩」をぜひお聴きください。
ラーキーこと、荒木左地男でした。